2025/10/11(土)成育医療研究センター
個人のメモですのでミスや誤記がある可能性をご了承下さい(文責:中村聡史)
■ 開会の挨拶(松原陽一:東北大学名誉教授、国立成育医療研究センター名誉研究所長)
第1回が2010年で15年前。成育医療研究センターにて。
コロナがあったので久々の開催。交流できることを嬉しく思う。
■ 研究班の活動報告(青木陽子:東北大学)
前回の対面でのシンポジウムは2018年11月23日
前回のオンラインでのシンポジウムは2023年2月4日
NEDOの予算により実施。
成育医療研究センター(深見先生)との共催。
ヌーナン症候群、ヌーナン様症候群、多発黒子を伴うヌーナン症候群、CFC症候群、コステロ症候群。
ラソパシーズを原因とするものが増えている。
3つの症候群の原因遺伝子がかなりわかってきた。特に、新しく6つの遺伝子が保険検査で可能になってきた。18の検査が可能に。
特に、ヌーナン症候群は増えてきている。
2023~2025年度のプロジェクト
・遺伝子診断の支援
・新しい原因を探してその働きを調べる
・どんな症状があるのか調査をする
・遺伝子診断の基準や、健康管理(ガイドライン)の検討
・アンケート調査や情報共有やシンポジウムの実施
ヨーロッパの方でも診断が進んでいる。
■ ヌーナン症候群の健康管理(黒澤健司:国立成育医療研究センター)
健康管理がとても大事
- 低身長
内分泌学的問題:低身長に対する成長ホルモン補充療法
ヌーナン症候群のお子さんの成長曲線に合わせてみる
成長記録をみることで、低身長であることがわかれば、担当の先生に相談
注意:肥大型心筋症の有無(程度)により補充療法を担当の先生に相談 - 先天性心疾患・肥大型心筋症
遺伝子のタイプによって出やすいものとそうでないものが異なる。RAF1は多い
肺動脈弁狭窄50~90%:右心室負荷
肥大型心筋症20~30%
心房中隔欠損症10~30%
不整脈(伝導障害)10%:心電図異常だから不整脈というわけじゃない。循環器の先生としっかり話すことが大事。循環器の先生とつながる必要大。
- 眼科的問題
斜視48-63%
屈折異常60-70%
白内障8%
眼振9%
弱視
3歳までには一度行くことが大事
- 血液凝固系の異常
凝固異常・出血傾向が高い。
歯科治療で出血が止まりづらかったなどのがあった場合、凝固因子の検査をしたほうが良い。通常の外来で可能。
足の硬い部分に出血が出ることもある。そうした場合も凝固因子の検査をしたほうが良い。
若年性骨髄単球性白血病(珍しい)
体細胞性変異で発症。ヌーナン症候群でも少ないものの発症。
JMMLだけでなく、急性リンパ性白血病などにも注意が必要で、専門の先生に診て貰う必要がある。
内出血をしやすく、常にアザラだらけになる。手術を受けた際に一般的に血液検査をしても異常なしだったりする。
50-89%で、凝固異常が起こりやすい。原因遺伝子は報告により相関が違うので不明。
- リンパ管系の異形成
多くはないものの目立つ。
胎児期には胎児胸水、乳び胸、胎児水腫、頸部リンパ管腫
出生体重が大きい傾向。妊娠分娩管理。成人学童期に、末梢性のリンパ浮腫になりうる。
- 泌尿生殖器
腎臓の異常11%
男の子は停留精巣が60-80%。泌尿器科の受診の必要がある。
- 発達遅滞
全体の3分の1程度が遅れが目立つ。
特に言語発達が遅れがち。早期の発達評価、療育参加、聴覚検診。
成人期にはうつ傾向があるとも。沈む傾向の大人が多い傾向がある。
常染色体牽制(優性)遺伝病の家計
子供が本人より重いか、軽いかは
- 遺伝の問題
ヌーナン症候群は体質としてとらえる
質問応答
特定疾患による医療補助の情報があれば知りたい:歯科矯正が補助対象だと初めて知った。
重症度と医療内容(特に高額医療)の場合に医療補助がある。それ以下の場合に医療補助が出るわけではない。
ケースワーカーに確認してほしい。子供によって違う。
歯科はかなり詳しく分類されているので、CFCが含まれいるかは要確認。
がんの発症率。小児では同年齢に比べ3~4、8倍高いと言われている。
とはいえ、ヌーナン症候群は4%くらい。アメリカでは精密検査を進めるのが5%。
比率的に定期的にチェックするというレベルではない。
定期フォロー検査の頻度、内容の目安。心臓については、担当の先生にしっかり確認してもらうことが大事。
発達のこと。就学がとても大事だが、前の年の夏。親の気持ち、本人の理解度などで考える。
ヌーナン症候群だからこうというものはあまりない。学校との密な確認が大事。
CFCでは多発黒子と、黒子以外の違いはあるのか?
CFCはそもそも黒子が多い。ヌーナン症候群は黒子が少ない場合もあるので、黒子が多いというので分離されている。
黒子以外の違いはほとんど無いが、聴力に違いがちょっとあるかもしれない。
過去の報告から黒子が多い子に心臓の病気として、肥大型心筋症が多いと言われていた。
ただ、今はヌーナン症候群にまとめられているために、もしかしたらヌーナン症候群に肥大型心筋症が多いのかも知れない。
■ コステロ症候群・CFC症候群の長期的合併症(岡本信彦先生:大阪母子医療センター)
30歳の患者さんも先生はみている。
コステロ症候群
・出生体重が大きいこともある。成長ホルモン分泌不全令がある。成人身長130~140cm
・低血糖発作の例がある
・乳児期は体重増加が送れる。
・てんかんは少ない(8%)。
・キアリ奇形、水頭症。
・不眠傾向、強い人見知り。
・社交的な性格。
・小脳ヘルニアによる脊髄圧迫に注意(歩行がふらつく場合は、合併症に注意。小さい頃だけではわからない。年齢が経ってからも注意)
・喉頭軟化症、気管軟化症、喘鳴聴取、胃食道逆流症を伴う睡眠障害
・眼振、斜視、円錐角膜など
・膀胱腫瘍の合併、腫瘍を起こしやすい
・54/621に悪性腫瘍。9.2%で合併。横紋筋肉腫が5.2%。膀胱腫瘍は2.2%だが、もっと多いかも知れない。腫瘍があると10年製造率60%程度
・バリアントが違う
・アキレス腱が固くなりやすい
CFC症候群
・体重増加不良が顕著な場合は鼻腔栄養や胃瘻による栄養補給が必要な例が多い。
・口腔感覚の過敏性が強く、摂食困難な例が多い。成人身長130~150cm
・胃食道逆流症による嘔吐、摂食障害、誤嚥に注意。便秘の傾向。
・筋緊張低下のために運動発達が送れる。3歳を過ぎた頃に歩き出す。
・早期からPT。歩能獲得に至らないこともある。
・言語発達もお遅れ、諸語は2歳以降。ST重要。
・心理士による定期的な発達評価が重要。幼児教室や保育参加が大事。卒後は作業所通所の場合が多い。
・皮膚接触の過敏もある。
・他社に対して攻撃的な場合もあるが、温和で社交性豊かな例もある。
・脳室拡大、キアリ奇形、水頭症の手術も稀にある。脳神経の先生にみてもらう。
・半分でてんかん発症。3歳から点頭てんかんを発症。BRAF Q257Rバリアントではてんかんが多い。
・発作性心停止を合併する。発作時の徐脈性変化に注意が必要。
・喉頭軟化症、気管軟化症、喘鳴聴取、胃食道逆流症を伴う睡眠障害
・屈折異常斜視が多い、眼振、白内障、両眼視機能の障害
・ほくろが多い、四肢や顔面の角質化
・停留精巣、水腎症など
・急性リンパ性白血病が一部報告あり。11/690に悪性腫瘍(1.6%)。10歳までに5歳が死亡。腫瘍は3歳までが多い。それ以降はそうでもない。
・頭蓋縫合早期癒合症。手術が必要。重要な合併症なのに看過されてきた。
・関節弛緩傾向、扁平足、
・膝関節拘縮がある。歩けない場合は骨粗鬆症に注意。
まとめ
CFCはてんかん、摂食障害、過敏性が問題、頭蓋縫合早期癒合症に注意。
コステロは不整脈、主要に注意、特に膀胱腫瘍。
皮膚症状も多い
■ 本人(同胞)への疾患開示について
先天異常症候群集団外来(2000~)25年になる
家族交流会で多い話題
2013年にヌーナン症候群集団外来をやったときに、どう告知するかが問題となっている。
いじめ的な話や、成績が悪いことで就職にどう影響するかなどを、どう伝えるかを親が悩んでいた。
告知がからんだか不明だが、告知後に学校に通えなくなった事例もある。
海外の研究では、親は先延ばしにする傾向がある。子は早く知りたいと思っている。
自己肯定感としては、早めに伝えたほうがよいと言われている。
387家族に郵便で依頼、158家族がアンケート回答。ヌーナンは17/39。
親は45歳前後、子は11歳前後。伝えているのが42%、伝えていないが58%。
ヌーナンは、伝えていないほうが多かった。13/17が伝えていなかった。
母親が開示が多い。小学校に入る前が多かった。
病院に行く理由を理解してもらうため、理解できる年令に達したと思ったが多い理由。
伝えた内容は、疾患名や症状が多い。少ないのは遺伝の話(7%)。センシティブだからか?
開示時に注意したのは、わかりやすく、シンプルに伝えた。ポジティブに伝えた。
情報開示で役立ったのは、主治医、患者・家族会、Web情報の順。
開示後にネガティブにとらえている人は少なく、ポジティブな人が多い。
色々な悩みをもっている親は多い。
親の願いとしては、前向きに捉えられるように。
本人兄弟の不安を払拭したい。
伝えたあとには支える。
開示時期、伝え方、内容、伝えたあとの対応などをしおりにしている。
ポイント
伝える、伝えないの選択に正解はない
親御さんの気持ちの安定外地盤大事
お子さんは勉強会や親の会などに参加することで自然と知り、理解する
徐々に本人の対しるの理解を深めていけるように
お子さんの年齢、理解にあわせて
受験、結婚などのタイミングは避けるように!
体制づくり
いつでも親や医療従事者と話せるように
幼少期はお友達との違いに気づく。わかりやすくシンプルに。診断名は伝えなくても大丈夫。
早期のメリット
自分自身の理解につながる。子供の良い受け入れと適用。違いや通院などへの理解。
違っていいこと、認められることで自己肯定感が高まる。
学童期はわかりやすく正確に。安心できるように。ポジティブなイメージを持てるように。原因などについても少しずつ触れていくと良いかもしれない。自分で調べられるようになるので、注意。
思春期青年期は、わかりやすく正確かつ安心できるように。遺伝子などについても着目していきましょう。
安心を与え、ポジティブな印象を与えるのが重要。
本人・同胞への追加アンケート。
早い時期に知りたかったが多かった。なるべく早く知りたい。困ったときに知りたい。
疑問に思ったときに知りたいかった。
病院受診や親、先生から。日常の中、リラクスした状態で。
わかりやすく、安心できるように、ポジティブに伝えてほしい。
■ おでこちゃんクラブの紹介
ぜひ活用してください!
■ 質疑・懇談
二次性徴について。生理は14歳半、初潮が1度のみ。
浜松医大の尾形先生。12歳3ヶ月が初潮。
ヌーナン症候群も遅い場合がある。15歳でもない場合は、病院を受診して欲しい。
その場合に、成長ホルモンなどでの治療を意識してもらうと良いかも知れない。
■ 写真撮影
■ 閉会の挨拶
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